この度,令和6年度の地盤工学会北海道支部長を仰せつかりました北海道大学の石川でございます。微力ではございますが,会員の皆様のご協力を賜りながら,北海道支部の更なる発展のために尽力してまいりたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
さて,今年度は,9年周期で回ってくる地盤工学研究発表会の北海道支部担当の年にあたり,来る7月23日~25日には旭川市で第59回地盤工学研究発表会が開催されます。北海道での研究発表会開催時には,全国から毎回多くの学会員の皆様がお越しになりますが,第59回の研究発表会にも前回の福岡大会よりも多い1000件を超える発表申込みを既にいただいております。今回は旭川市での初の研究発表会の開催ということもあり,大会の成功は,北海道支部の会員の皆様のご支援・ご協力なくしてはありえません。まずは,7月の地盤工学研究発表会の開催とその成功に向けて,支部一丸となって取り組んで参りたいと思いますので,ご支援・ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
次に,北海道では平成30年北海道胆振東部地震以降,広域・激甚な地盤災害は幸い発生していない状況にありますが,今年1月に発生した令和6年能登半島地震では,自然外力の脅威と地盤災害リスクの重篤さを多くの方が改めて実感したのではないかと思います。能登半島地震での被災状況を鑑み,国土交通省から地盤工学会へ技術協力の依頼もあったように聞いておりますが,安全・安心な地域社会に貢献することも,地盤工学の専門家集団である本学会の重要な役割の一つであると考えます。特に,本州など国内他地域と異なり,特殊土地盤が拡がり積雪寒冷環境という厳しい地盤条件・気象条件下にある北海道は,今後の気候変動に伴う豪雨の増加や地震活動の活発化に対し,災害の広域化・激甚化の危険性があります。このような差し迫る地盤災害リスクに対し,学会として何ができるのかをこの機会に改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。その一つは,従来から指摘されているように,若い世代の会員増加策を講じ地盤工学の魅力や技術・知識を次世代に伝承することにあると考えます。こちらについては,新たな試みとして今年度から若手勉強会の開催が予定されているようですので,これに期待したいと思います。加えて,災害原因の究明,防災・減災対策の検討などを通して,一般市民に対して,災害時だけでなく平常時にも将来発生する可能性のある新たな地盤災害リスクについて情報発信を継続的に行い,地盤工学の実用性や地盤工学会の存在意義を伝えていくことも本学会の活動として重要です。こちらについては,北海道支部としてどのようなことができるのかを今年度検討してまいりたいと思います。
昨年5月に新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類」へ変わり,社会活動もようやく平常にもどった感がありますが,今年度は特に,以上のような検討事項に対して,地盤工学会北海道支部としての社会的責務を十分に果たせるよう,また北海道支部活動の活性化と更なる発展のために,会員の皆様と一緒に検討して参りたいと思いますので,皆様のご支援,ご協力を賜りますようお願い申し上げ,新任の挨拶とさせていただきます。1年間,どうぞよろしくお願いいたします。